学習指導要領改訂に関する考察 (2)
前回は近い将来実施される学習指導要領の改訂についての大枠について考えてみました。
今日は今回の学習指導要領改訂の目玉である「英語教育の改革」と「アクティブラーニングの導入」について考えてみたいと思います。
①英語教育の改革
「何ができるようになるか」という観点から改訂が実施されるのが英語です。つまり英語を学習することのゴールが英語を「話せる」「使える」ようになることになるということです。
そのためまず小学校から英語が必須課目となります。また中学校以降の英語の授業は英語で行われるようになるということです。
狙いとしてはこれまで「聞く」「読む」という受動的能力に偏っていたものを「書く」「話す」という能動的能力へ転換するものだと考えられます。そのために小学校3年生という低年齢期から英語の触れ身近なものにすることにより、英語に対する嫌悪感を取り除こうとしているのだと考えられます。
ネガティブな意見としては大きく二つあり、一つは母国語も拙い低年齢期から外国語を学ぶことに対する危惧、もう一つは中学以降の英語教員が英語で授業ができるのかという問題に対するものです。
②アクティブラーニングの導入
まず初めに当初の改定案で用いられていた「アクティブラーニング」という言葉は今回2月14日に発表された学習指導要領改定案からは姿を消し、代わって「主体的・対話的で深い学び」という表現が使われました。これは「アクティブラーニング」がいかなるものであるかを定義するには至っておらず、法令には使用できないという理由であったようです。
このことが示しているように、「これがアクティブラーニングだ!!」という具体的な定義はありません。では結局何がしたいのか?今回の学習指導要領改訂が目指しているのは下図に示される循環です。
つまり「何を」「何のために」「どうやって」学ぶのかを生徒が主体的に考え、学んだことを「何に」使うのかまで見据えようということだと私は理解しました。そのために従来の受動的な授業を見直し、生徒の自発性を促すという趣旨なのでしょう。
と、ここまで読んでいただいた方の多くは「理想は分かるけど、どうやって??」と思われるのではないでしょうか。
そうなんです。ですから現在各学校の先生方は必死になって研究をされています。画一的に有効な手段はこれだ!と打ち出せない理由もお分かりいただけるのではないでしょうか。
今回はここまでにして、次回は今回の学習指導要領改訂に対する私の意見と、それを踏まえての今後の取り組みについてお話したいと思います。